タブレット学習が続かない理由と、続けるための家庭の工夫

壁にかかった無地のカレンダーに丸いシールがいくつか貼られ、その手前の机に無地のタブレットと鉛筆立てが置かれている タブレット学習コラム

申し込んだ最初の数週間は楽しそうに取り組んでいたのに、だんだん端末を開かなくなった。そんな経験から「うちの子には向いていないのかも」と感じている方もいるかもしれません。この記事は、幼児・小学生のどちらの保護者にも読んでいただける内容で、タブレット学習が続かなくなる家庭側の理由と、生活の中で取り入れやすい工夫をまとめました。

扱うのは、教材を選び直す前に家庭で見直せること、つまり時間帯・置き場所・声かけ・量の決め方です。文部科学省の全国調査や厚生労働省のガイドなど、公的な資料でわかっていることも紹介します。どの工夫が合うかは子どもによって違うので、様子を見ながら一つずつ試してください。

この記事でわかること

  • 続かなくなるときによくある家庭側のつまずき
  • 取り組む時間帯を生活の流れに組み込むコツ
  • 端末の置き場所と、しまう場所の決め方
  • 全国調査からわかる、保護者の関わり方と子どもの勉強時間の関係
  • 量を小さくする・休む日を決めるという考え方

続かないのは、子どものやる気だけの問題ではない

タブレット学習が止まってしまうと、つい子どもの意欲のせいにしがちです。けれども家庭でよく見かけるつまずきには、仕組みの側で直せるものが少なくありません。たとえば次のような状態です。

  • 取り組む時刻が日によってばらばらで、「今日はいつやるの?」から始まる
  • 端末が棚の奥や充電器の横にあり、出すまでにひと手間かかる
  • ゲームや動画と同じ場所・同じ端末の感覚で、気持ちが切り替わらない
  • 終わっても誰も見ていない、話題にもならない
  • たまった課題の量を見て、始める前に気が重くなっている

どれか一つでも当てはまるなら、教材を変える前に家庭の環境を少し動かしてみる余地があります。以下では、取りかかりやすい順に4つの工夫を紹介します。

工夫1:時間帯を「生活の流れ」に組み込む

「時間があるときにやる」は、忙しい日ほど後回しになります。続けやすいのは、毎日ほぼ同じ場面の前後に置くやり方です。おやつの後、お風呂の前、朝の登校準備が終わったあとなど、すでに習慣になっている行動とセットにすると、声をかける側も迷いません。

時間帯(例)取り入れやすい点気をつけたい点
帰宅してひと休みした後学校や園のことを思い出しやすい疲れている日は量を減らす
夕食の前「終わったらごはん」と区切りがつけやすい準備で大人が見ていられないことも
朝の支度の後短い時間で集中しやすい登校・登園の時刻に追われない量にする

※家庭での組み合わせ方の例です。どの時間帯が合うかは子どもと生活リズムによって違います。

避けたいのは、眠る直前の時間帯に回すことです。文部科学省の「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」は、家庭学習の計画について、睡眠の直前には行わない、長時間続けて行わないといった立て方を学校が指導することを挙げています。夜に回すとそのまま寝る時刻が遅くなりやすいので、夕方までに終わる場面を選ぶとよいでしょう。

工夫2:置き場所と「しまう場所」を決める

端末を使うたびに探す状態では、始めるまでに気持ちが途切れます。使う場所・充電する場所・しまう場所をそれぞれ決めておくと、出す・片づけるが短時間で済みます。幼児や低学年なら、保護者の目が届くリビングやダイニングの一角に置き場をつくるのも一つの方法です。

寝室には置かないことも決めておきたい点です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、こどもについて、デジタル機器は寝室に持ち込まず、電源を切って別の部屋に置いておくよう呼びかけています。夜はリビングで充電する、というルールにしておけば、学習用の端末が夜ふかしのきっかけになるのを防ぎやすくなります。

工夫3:声かけは「やったかどうか」より「何をやったか」

文部科学省と国立教育政策研究所が令和6年度に行った「保護者に対する調査」(小学6年生・中学3年生の保護者が対象)では、子どもと学校の勉強のことについて話をしている保護者の子どもほど、勉強時間が長い傾向が見られました。「計画的に勉強するよう促している」保護者の子どもも、同様に勉強時間が長かったとされています。

一方で、子どもと勉強の話を「いつもしている」「よくしている」と答えた小学6年生の保護者は合わせて40.0%で、前回の令和3年度調査(42.1%)より少し減りました。報告書は、こうした違いの理由や背景はこの調査だけからは分からないとも注意しています。話をすれば勉強時間が延びる、という因果関係を示したものではない点は押さえておきましょう。

家庭で使いやすいのは、終わったかどうかの確認より、中身にふれる声かけです。

  • 「今日はどんな問題が出たの?」
  • 「その答え、どうやって考えたか教えて」
  • 「きのうより早く終わったね」
  • 「明日はどこからやる予定?」

同じ調査では、保護者自身のゲームやSNS・動画の時間が長いほど、子どもの使用時間も長い傾向が示されています。子どもが学習している間は、大人も本を読む、家事をするなど、画面から少し離れて過ごすのも一つの関わり方です。

工夫4:1回の量を小さくし、休む日もあらかじめ決める

「毎日30分」と大きな目標を立てると、できなかった日の負担が大きくなります。最初は1回10分や「1単元だけ」など、無理なくこなせる量から始め、慣れてきたら少しずつ増やす方が続けやすくなります。

あらかじめ週に1〜2日の休みを決めておくのも方法です。休んだ日を「さぼった日」にしないことで、翌日に気持ちよく再開できます。カレンダーに取り組んだ日だけ丸いシールを貼るなど、続いていることが目に見える形にしておくと、子ども自身が流れを感じやすくなります。たまった分を一気に取り戻そうとせず、今日の分から再開しましょう。

それでも続かないときに見直したいこと

工夫を試しても気持ちが向かない場合は、次の点を子どもと一緒に振り返ってみてください。

  • 内容が今の子どもにとって難しすぎる、または簡単すぎないか
  • 学校の宿題や習いごととの合計で、負担が大きくなっていないか
  • 睡眠不足や体調不良など、生活全体のリズムが崩れていないか
  • 子ども自身は何が嫌なのか(操作・内容・時間帯)を聞けているか

教材そのものの見直しを考えるときは、資料やお試し版で内容と量を確かめ、子どもの様子を見ながら判断しましょう。

毎日でなくてもかまいません。大切なのは、やめてしまわずに再開できる流れをつくることです。週の中で休む日を先に決めておく、できなかった日は翌日に持ち越さず今日の分から再開する、といった形にすると負担が軽くなります。

始める合図を声かけに頼らず、時間帯や場面で決めておくと、言い合いになりにくくなります。終わったあとに中身を聞く声かけに切り替えるのも一案です。子どもが何を嫌がっているのかを落ち着いて聞くと、量や時間帯の調整につながることがあります。

決まった基準はありませんが、操作に慣れるまでは近くで様子を見て、困ったときに手伝える距離にいると取り組みやすくなります。慣れてきたら少しずつ見守る時間を短くし、終わったあとに一緒に内容を振り返る形にしていくとよいでしょう。

まとめ

  • 続かない理由には、時刻・置き場所・量など家庭の仕組みで直せるものがある
  • 取り組む時間は、すでに習慣になっている行動の前後に置き、眠る直前は避ける
  • 端末の使う場所・充電する場所を決め、寝室には持ち込まない
  • 全国調査では、勉強の話をする保護者の子どもほど勉強時間が長い傾向(因果関係は不明)
  • 1回の量は小さく、休む日も決めて、子どもの様子を見ながら調整する

参考にした資料