解約・退会で困らないために|端末代の請求・通信販売とクーリング・オフ

テーブルの上に閉じた無地の封筒と書類、電源を切った無地のタブレットと付属のペンが置かれ、大人の手が書類を確認している、手続きを落ち着いて確かめる雰囲気の写真 タブレット学習コラム

タブレットを使う通信教育は、ウェブサイトや電話、はがきで申し込む形が多く見られます。始めるときは手軽でも、「子どもに合わなかった」「思ったより使わなかった」と感じて退会を考えたとき、端末の代金や解約月の会費を求められて戸惑うことがあります。

この記事は、幼児向け・小学生向けのどちらを検討している保護者にも共通する内容です。消費生活センターに寄せられた相談事例と、特定商取引法・消費者契約法の条文をもとに、申し込む前とやめる前に確かめておきたいことを整理します。

この記事でわかること

  • 退会や端末をめぐって実際に寄せられた相談の例
  • 通信販売にはクーリング・オフがないことと、法律上の返品のルール
  • 高すぎる解約料についての消費者契約法の決まり
  • 契約前・退会前に確かめることと、困ったときの相談先

消費生活センターに寄せられた相談の例

東京都消費生活総合センターは2017年3月、子ども向けのタブレット通信学習について、次のような相談を紹介して注意を呼びかけました。

きっかけ相談の内容(要約)
街頭の体験イベント2千数百円の1週間お試しに申し込んだ。内容が期待と違い、退会と端末の返品を申し出ると、お試し期間が過ぎて本契約になっているとして、年会費約3万円の一括払いを求められた
小学生の子の受講月会費と端末の保証費を年払いしていた。端末の故障が続き、1年を過ぎると修理は有料という規約を示された。解約を伝えると、今月分の会費を払ってからの解約になると言われた

出典:東京都消費生活総合センター「子供向けタブレット通信学習サービスで納得できない料金を請求された!」(2017年3月27日)(確認日 2026-10-20)

同センターは問題点として、説明を十分に聞かないまま申し込んでいたこと、お試しが手続きをしないと有料契約に切り替わる仕組みだったこと、解約の条件が利用者に不利になりうることを挙げています。

国民生活センターも、定額で使い続ける「サブスク」で提供されるサービスの例に学習教材を挙げ、契約中は利用していなくても料金が発生すると説明しています。2026年7月の注意情報では、アプリを削除したりアンインストールしたりするだけでは解約にならず、事業者が定めた方法で手続きする必要があるとしています。

通信販売にはクーリング・オフがない

国民生活センターは、インターネット通販やテレビショッピングなどの通信販売には、法律上のクーリング・オフ制度はないとしています。そのかわりに特定商取引法第15条の3が、通信販売で商品を買ったときの申込みの撤回・契約の解除(いわゆる返品)について次のように定めています。

確かめる点条文の中身
対象通信販売で広告をした事業者との、商品または特定権利の売買契約
期間商品の引渡しを受けた日から数えて8日を経過するまで
特約があるとき事業者が返品についての特約を広告に表示していれば、特約が優先する(ネットで申し込む契約などは、広告以外の方法での表示も求められる)
返送の費用商品の引取りや返還にかかる費用は購入者の負担

出典:特定商取引に関する法律 第15条の3(e-Gov法令検索)(確認日 2026-10-20)

つまり、「返品できません」「到着後◯日以内に限る」といった特約が表示されていれば、その条件に従うことになります。また、この条文が対象にしているのは商品と特定権利の売買で、教材の配信や添削のような役務(サービス)の契約は書かれていません。端末と受講の契約が分かれているかどうかも、規約で確かめておきたい点です。

申込み画面と広告に表示される決まり

特定商取引法は、通信販売の広告に価格や支払時期のほか、申込みの撤回や解除に関する事項(特約があればその内容)を表示するよう定めています(第11条)。ネットなどで申し込むときの最後の確認画面にも、分量や価格、支払時期、撤回・解除に関する事項を表示しなければなりません(第12条の6)。この表示に事実と違う内容があったり、表示がなかったりして誤認して申し込んだ場合は、取り消せることがあります(第15条の4)。

訪問や電話の勧誘から申し込んだとき

国民生活センターは、訪問販売(キャッチセールスなどを含む)や電話勧誘販売を、8日間のクーリング・オフができる取引に挙げています。街頭で声をかけられた、自宅に電話があったといったきっかけで申し込んだ場合は、通信販売とは別の扱いになることがあります。条件によってできない場合もあるため、早めに相談窓口へ確かめましょう。

解約料が高すぎると感じたら

消費者契約法第9条第1項第1号は、契約の解除に伴う損害賠償の予定や違約金を定めた条項のうち、同じ種類の契約の解除で事業者に生じる「平均的な損害の額」を超える部分は無効と定めています。同条第2項では、事業者は消費者から求められたとき、解約料などの算定の根拠の概要を説明するよう努めなければならないとされています。

退会時の端末代や会費の請求がこの条項にあたるかどうかは、契約の中身によって判断が分かれます。金額に納得できないときは、自分だけで決めずに、請求の根拠を事業者に尋ねたうえで相談窓口に伝えましょう。

申し込む前・退会する前に確かめること

  • 端末は買い取りか貸与か。退会したときに端末代や返却を求められる条件があるか
  • お試し期間のあと自動で有料の契約に切り替わるか、切り替わる日はいつか
  • 退会の締め日と、解約月の会費の扱い
  • 端末の保証の期間と、期間を過ぎたあとの修理の費用
  • 返品の特約の内容(できるか・何日以内か・送料はどちらの負担か)
  • 退会の手続きの方法(電話・ウェブなど)。アプリの削除では退会にならない

規約がウェブ上にしかない場合もあるので、申し込んだときの画面や規約、届いたメールは保存しておきます。クレジットカードなどの明細を毎月見ておくと、退会したつもりの請求にも早く気づけます。

困ったときの相談先

事業者と話しても納得できないときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、住んでいる地域の市区町村や都道府県の消費生活センターなどの窓口を案内してもらえます。相談は無料で、通話料は窓口につながった時点からかかります。地域の窓口が閉まっている日は、国民生活センターが相談を補います。

相談するときは、申込みの日付、規約や料金表、事業者とのやりとりの記録、請求の明細をそろえておくと話が進みやすくなります。

よくある質問

通信販売の返品は、まず広告や規約に表示された返品の特約に従います。特約の表示がない場合は、商品を受け取った日から数えて8日を経過するまでなら、送料を自分で負担して返品できるのが法律のルールです。届いたらすぐに中身と規約を確かめましょう。

なりません。国民生活センターは、アプリを削除したりアンインストールしたりするだけでは解約にならず、事業者が定めた方法で手続きする必要があるとしています。退会の方法と締め日を確かめ、手続きが終わったことが分かる画面やメールを保存しておきましょう。

請求の根拠を事業者に尋ね、規約のどこに書かれているかを確かめます。消費者契約法では、平均的な損害を超える解約料の部分は無効とされ、事業者には求めに応じて算定根拠の概要を説明する努力義務があります。判断に迷うときは消費者ホットライン188に相談してください。

まとめ

  • ネットや電話で申し込む通信販売には、法律上のクーリング・オフはない
  • 返品は特約が優先し、特約がなければ商品の受取りから8日を経過するまで(送料は自己負担)
  • 端末代・お試し後の切り替え・解約月の会費・修理費の条件を契約前に確かめる
  • 平均的な損害を超える解約料の部分は、消費者契約法で無効とされる
  • 困ったら消費者ホットライン188で、地域の消費生活センターに相談する

参考にした資料