「まわりの子がタブレットで学びはじめた」「2歳だけれど、もう早いのかな」。タブレット学習を何歳から始めるかは、未就学の幼児をもつ保護者がまずぶつかる疑問です。この記事は、0歳から小学校に上がる前までの子どもを主な対象にしています。
結論からいうと、今回確かめた公的な資料の中に、「何歳から始めるべき」という開始年齢を定めたものはありませんでした。ただし、画面を見る時間の目安や、幼児期に大事にしたいことを示した資料はあります。それらを手がかりに、始める時期の考え方と、親の関わり方を整理します。
幼児のインターネット利用の実態
こども家庭庁は毎年、子どものインターネット利用を調べています。令和7年度の調査では、0〜9歳の子の保護者に聞いた結果が次のようにまとめられています。
| 項目(0〜9歳) | 結果 |
|---|---|
| インターネットを利用している割合 | 75.2%(通園中の子は68.8%) |
| 利用内容の上位 | 動画視聴93.4%、ゲーム61.4%、勉強・習い事34.0% |
| 通園中の子の「勉強・習い事」 | 12.4% |
| 平日1日の平均利用時間 | 約2時間18分 |
| うち勉強・学習・知育 | 約22分(21.9分) |
| うち趣味・娯楽 | 約1時間48分 |
出典:こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」(令和8年3月)。保護者への調査。利用内容・利用時間はインターネットを利用している子が対象。
園に通う年齢の子でも、7割近くがインターネットを使っていることになります。一方で使い道は動画やゲームが中心で、勉強・学習・知育に使う時間は平均で20分あまりでした。タブレット学習を始めるかどうかは、「これから画面にふれさせるか」より、すでにある画面の時間の中で、何にどれだけ使うかという問題として考えるほうが実情に近いといえます。
年齢の目安として参考になる公的な指針
WHOのガイドライン(5歳未満)
WHO(世界保健機関)は2019年に、5歳未満の子どもの身体活動・座っている時間・睡眠についてのガイドラインを公表しました。画面を見る時間については、年齢ごとに次の目安を示しています。
| 年齢 | 座って画面を見る時間 | 体を動かす時間 | 睡眠(昼寝を含む) |
|---|---|---|---|
| 1歳未満 | 推奨されない | 1日に何度も、いろいろな形で | 0〜3か月 14〜17時間 4〜11か月 12〜16時間 |
| 1歳 | 推奨されない | 1日合計180分以上 | 11〜14時間 |
| 2歳 | 1時間まで(短いほどよい) | ||
| 3〜4歳 | 1時間まで(短いほどよい) | 1日合計180分以上(うち60分以上は活発に) | 10〜13時間 |
出典:WHO「5歳未満の子どもの身体活動・座位行動・睡眠に関するガイドライン」(2019年)をもとに作成。
この目安は「画面を見ながら座って過ごす時間」についてのものです。タブレット学習もその時間にあたるので、動画やテレビと合わせた画面の時間の合計で考えると無理がありません。また、ベビーカーや子ども用の高いいすなどで1時間を超えて動けない状態にしないこと、座って過ごすときは保護者との読み聞かせやお話を勧めることも書かれています。なお、5歳以上の子はこのガイドラインの対象外です。
日本小児科医会の提言と啓発資料
日本小児科医会は2004年の提言で、2歳までのテレビ・ビデオの視聴は控えること、すべてのメディアにふれる時間の合計を1日2時間までを目安にすることなどを呼びかけました。タブレットが広まる前の提言ですが、乳幼児期は身近な人とのかかわりや遊びの実体験を重ねる時期だという考え方が土台にあります。
2024年の保護者向けポスターでも、遊びは子どもの主食であること、スクリーンタイムは短めにすること、寝る1時間前にはメディアの使用を終えること、子どもの話を聞いて言葉のやりとりを楽しむことが挙げられています。
始める時期を考えるときの4つの視点
文部科学省の幼稚園教育要領は、幼児期は直接的な体験が重要であることを踏まえ、情報機器は園生活では得難い体験を補うように使うとしています。解説では、興味をもっている様子だからといって安易に使わないこと、使う目的や必要性を意識することも求めています。家庭で時期を考えるときも、次の4つが目安になります。
- 画面の時間の合計:動画やゲームと合わせて、年齢の目安の範囲に収まりそうか
- 遊びと睡眠:外遊びや体を動かす時間、十分な睡眠を削らずに入れられるか
- 目的:何のために使うのかを、保護者が言葉で説明できるか
- 子どもの様子:短い時間でも座って画面に向かえ、やめる合図で終われるか
年齢が同じでも、生活のリズムや興味の向き方は子どもによって違います。2歳になったから、年中になったからという年齢だけで決めず、この4つがそろってきたかを見るほうが、その子に合った時期を選びやすくなります。
幼児がタブレットを使うときの親の関わり方
小さい子ほど、一人で画面に向かわせるより、大人が近くにいる形が向いています。WHOのガイドラインが、保護者とのやりとりのある過ごし方を勧めていることとも重なります。
- はじめのうちは横に座り、画面を一緒に見ながら「いま何をしているの?」と話しかける
- 終わったら、画面で見たものを実物や遊びにつなげる(数えたものを実際に数える、出てきた生き物を図鑑や公園で探す など)
- 使う時間と終わり方は大人が決め、時間が来たら一緒に片づける
- 寝る前の1時間は使わない
- 保護者自身も、子どもの前でスマホを見る時間を意識する
タブレットは、親子のやりとりの代わりではなく、やりとりのきっかけになる道具として使うと、幼児期に大事にしたい体験と両立させやすくなります。時間の管理を助ける端末の設定は、このコラムの別の記事で扱います。
よくある質問
WHOのガイドラインでは、2歳の画面を見る時間は1日1時間まで、短いほどよいとされています。学習用も画面を見て座って過ごす時間なので、動画などと合わせた合計で考えてください。始めるなら短い時間にとどめ、大人がそばで一緒に使う形が目安になります。
早く始めるほど有利だと示す公的な資料は、今回確かめた範囲では見当たりませんでした。幼稚園教育要領は、幼児期には直接的な体験が重要だとしています。始める時期よりも、遊びや睡眠、親子の会話の時間を保ちながら使えるかを大事にしてください。
始める前に「時計の針がここまで来たら終わり」など、子どもにも分かる終わりの合図を決めておくと切り替えやすくなります。それでも画面から離れにくい様子が続くときは、いったん使うのを休み、時期を見直すのも一つの方法です。気になることがあれば、かかりつけの小児科に相談してください。
まとめ
参考にした資料
- WHO「Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age」(2019年4月2日)
https://www.who.int/publications/i/item/9789241550536(確認日 2026-10-20) - WHO ニュースリリース「To grow up healthy, children need to sit less and play more」(2019年4月24日)
https://www.who.int/news/item/24-04-2019-to-grow-up-healthy-children-need-to-sit-less-and-play-more(確認日 2026-10-20) - こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」(令和8年3月)
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/9a55b57d-cd9d-4cf6-8ed4-3da8efa12d63/67f41585/20260327_policies_youth-kankyou_internet_research_results-etc_21.pdf(確認日 2026-10-20) - 日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会「『子どもとメディア』の問題に対する提言」(2004年2月6日)
https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/ktmedia_teigenzenbun.pdf(確認日 2026-10-20) - 日本小児科医会 ポスター「保護者の方へ デジタル社会の子育て『幼児期に大切なこと』」(2024年)
http://www.jpa-web.org/dcms_media/other/digital_kosodate2024.pdf(確認日 2026-10-20) - 文部科学省「幼稚園教育要領解説」(平成30年2月)第1章第4節 3(6) 情報機器の活用
https://www.mext.go.jp/content/1384661_3_3.pdf(確認日 2026-10-20)

