不動産投資の始め方|面談・セミナーの前に準備する数字と質問リスト

ノートを開いて手書きで質問リストを書いている手元と、横に置いたコーヒーカップ・電卓・小さなマンションの模型 不動産投資コラム

不動産投資に興味を持ったとき、多くの人が最初に申し込むのが、販売会社の個別面談やセミナーです。ただ、準備なしで参加すると、相手の資料と数字だけで話が進みがちです。

この記事では、初心者が面談やセミナーの前に手元でそろえておく数字、収支シミュレーションを受け取ったときに見るべき前提、その場で聞く質問リスト、契約前に公的な仕組みで相手を確かめる方法を整理します。

この記事でわかること

  • 面談の前に棚卸ししておく家計の数字(年収・手元資金・借入)
  • 収支シミュレーションで、空室・金利・修繕が織り込まれているかの見方
  • 面談やセミナーでそのまま使える質問リスト
  • 重要事項説明(宅建業法第35条)と、免許番号の調べ方

面談の前に、自分の家計を数字で書き出す

提案が妥当かは、自分の側の数字がなければ判断できません。まず次の5つを書き出しておきましょう。

整理する項目書き出す中身手元で使う資料
年収額面と手取りの両方。ボーナスの比重や、ここ数年の増減も源泉徴収票、給与明細
手元資金預貯金のうち、急な出費に備えて手を付けない生活費を除いた額通帳、ネットバンキングの残高
既存の借入住宅ローン、車のローン、カードの分割・リボ払い、奨学金の残高と毎月の返済額返済予定表、カードの利用明細
毎月の家計固定費と変動費を引いたあとに残る額家計簿、口座の入出金履歴
これからの予定結婚、出産、教育費、住み替え、転職など、出費や収入が変わる時期家族と話した予定のメモ

※項目は筆者の整理。年収や借入額の「目安」は法令で決まっていないため、金融機関ごとに確認が必要です。

年収は、持ち出しが出た月に家計が耐えられるかを考える材料でもあります。借入の可否や金額は金融機関がそれぞれの基準で判断します。「年収がいくらあれば始められる」という一律の線は、法令などで決まっているわけではありません。

自己資金(頭金)を考えるときは、物件の代金とは別に、登記やローンの手続き、税金などの諸費用がかかることも頭に入れておきます。手元のお金を使い切ると、空室や故障が重なった月に補う余地がなくなります。投資に回す額と、手を付けない生活費は分けて書き出しておくのが出発点です。

国民生活センターは、ローン申込みで事業者から虚偽の申告を指示される相談事例を挙げ、虚偽申告をしてはいけないと注意を呼びかけています。年収や借入の状況は、事実のとおりに伝えることが前提です。

収支シミュレーションは「前提条件」を読む

面談では、家賃収入とローン返済、管理費などを並べた収支シミュレーションがよく示されます。利回りの計算式は別のコラムに譲り、ここではその表がどんな前提で作られているかを確かめるポイントに絞ります。

  • 空室の期間を見込んでいるか(満室が何十年も続く前提になっていないか)
  • 家賃が築年数とともに下がっていく想定になっているか
  • ローンの金利が上がった場合の返済額も示されているか
  • 管理費・修繕積立金が将来上がる可能性や、室内設備の交換費用を入れているか
  • ローン完済まで、または途中で売る場合の数字まで示されているか

例:月8万円の家賃を想定した部屋で、入居者の入れ替わりのたびに1か月ずつ空室が出るとします(架空の数字です)。年に1回入れ替わるなら、その年の家賃収入は11か月分になり、約8%減ります。こうした「入らない月」が表にあるかどうかで、手取りの印象は大きく変わります。

シミュレーションは、相手が選んだ前提で作られた試算です。将来の家賃や金利を約束するものではありません。前提条件の一覧を書面でもらい、空室や金利の条件を自分で厳しめに置き換えて計算し直すと、手取りがどこまで下がるかが見えてきます。

面談・セミナーで聞く質問リスト

次のリストをメモに入れて持って行きましょう。回答はメールや書面でもらうと、あとで比べやすくなります。

物件そのものについて

  • この部屋の今の家賃と、周辺の同じ広さの部屋の家賃はいくらか(根拠になる資料はあるか)
  • 建物の築年数と、管理組合の長期修繕計画・修繕積立金の残高はどうなっているか
  • 管理費と修繕積立金は、過去に値上げされたことがあるか、今後の予定はあるか
  • 専有部分の使い方に、規約上の制限はあるか

お金の流れについて

  • 物件価格のほかにかかる諸費用の内訳と合計はいくらか
  • ローンの金利の種類、借入期間、繰上返済の手数料はどうなっているか
  • 空室が3か月続いた場合、毎月いくら持ち出しになるか
  • 賃貸管理を任せる場合の委託料と、契約期間・解約の条件はどうなっているか
  • 団体信用生命保険への加入が条件か、その費用はどこに含まれているか

相手の会社と契約について

  • 宅地建物取引業の免許番号と、免許を出した行政庁はどこか
  • 重要事項説明書と契約書の案を、契約日より前に受け取れるか
  • 売主は誰か(その会社自身か、ほかの会社の仲介か)

即答を求められても、持ち帰って家族と相談し、数字を自分で計算し直してから返事をすることは、何も失礼ではありません。

契約前に、公的な仕組みで確かめる

重要事項説明(宅建業法第35条)

宅地建物取引業者は、売買契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士に、重要事項を記載した書面を交付して説明させなければならないと定められています(宅地建物取引業法第35条第1項)。説明する宅地建物取引士は、相手に宅地建物取引士証を提示しなければならず(同条第4項)、書面には宅地建物取引士が記名します(同条第5項)。

マンションの一室を買う場合、説明事項には、管理費の額、計画的な修繕のための積立てに関する規約の定めとすでに積み立てられている額、専有部分の用途や利用の制限に関する規約の定めなども含まれます(宅地建物取引業法施行規則第16条の2)。契約当日に初めて読むのでは時間が足りません。

免許番号と処分歴を検索する

宅地建物取引業を営むには、国土交通大臣か都道府県知事の免許が必要で、免許の有効期間は5年です(宅地建物取引業法第3条)。免許番号のかっこ内の数字は「回次」と呼ばれ、東京都の免許情報サービスは、最初の免許取得時を1とし、その後の更新回数を加えたものと説明しています。

確かめる場所わかること
国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」宅地建物取引業者として免許を受けているか、免許番号など、登録された情報
国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」最近5年分の行政処分(免許取消・業務停止・指示)
相手の事務所に掲げられた標識宅建業法第50条で、事務所などごとに公衆の見やすい場所へ掲げることが義務になっている標識

出典:国土交通省の各検索サイト、宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)(確認日 2026-10-19)

名刺やパンフレットに書かれた免許番号が実在するか、処分の記録がないかを、契約の前に自分の目で確かめておきましょう。

よくある質問

法令などで決まった基準はありません。ローンの審査は金融機関ごとに、既存の借入なども含めて行われます。金額の線引きより、空室や金利上昇が重なっても家計から返済を続けられるかを、自分の数字で試算することが大切です。

参加しただけで契約の義務が生じることはありません。興味がなければはっきり断ってかまいません。強引な勧誘で困ったときは、消費者ホットライン188番で最寄りの消費生活センターに相談できます。

宅地建物取引業法第35条で、売買契約が成立するまでの間に行うことになっています。内容を落ち着いて読めるよう、契約日より前に書面の写しを受け取れるか相手に確認しておきましょう。

まとめ

  • 面談の前に、年収・手元資金・既存の借入・家計の余力・今後の予定を書き出す
  • 自己資金は、物件代金とは別の諸費用と、手を付けない生活費を分けて考える
  • 収支シミュレーションは、空室・家賃の下落・金利・修繕の前提を読み、自分で厳しめに計算し直す
  • 質問リストを持参し、回答は書面やメールでもらう。その場で決めない
  • 重要事項説明書は事前に受け取り、免許番号と処分歴は国土交通省のサイトで確かめる

参考にした資料