不動産投資ローンの基本|住宅ローンとの違い・金利・審査で見られること

デスクの上で手元が書類を指さしながら確認し、横に電卓とノートパソコンがある、金融機関の窓口で相談しているような落ち着いた雰囲気の写真 不動産投資コラム

投資用のマンションやアパートを買うとき、多くの人は金融機関から借入れをします。このとき使うのは、自分が住む家のための住宅ローンではなく、賃貸用の物件を対象にした投資用のローンです。似た名前でも、借りる目的も審査の見方も違います。

この記事では、住宅金融支援機構と金融庁、国土交通省の公表資料をもとに、2つのローンの違い、住宅ローンを投資に使ってはいけない理由、審査で確かめられること、金利タイプと団体信用生命保険(団信)の考え方を整理します。特定の金融機関やローン商品の紹介はしていません。

この記事でわかること

  • 住宅ローンと不動産投資ローンの目的・審査の違い
  • 住宅ローンを投資用物件に使うと何が起きるか
  • 金融機関が審査で確かめていること
  • 変動金利と固定金利、団信について申込み前に確かめたいこと

住宅ローンと不動産投資ローンの違い

住宅ローンは、借りる人や家族が住む住宅を手に入れるためのお金です。これに対して不動産投資ローンは、人に貸して家賃を受け取ることを目的とした物件の購入資金で、借り手は賃貸事業を営む立場になります。

項目住宅ローン不動産投資ローン
借りる目的自分(や家族)が住む住宅の取得人に貸して家賃を得る物件の取得
返済の元手主に給与などの収入物件の家賃収入に加え、給与などの収入も審査で考慮されることが多い
物件について確かめること―賃料水準や売買価格が、市場のデータに照らして妥当か
投資用への流用契約違反(自己居住が条件)―

出典:住宅金融支援機構【フラット35】、金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」(2019年3月)・「預金取扱等金融機関モニタリング・分析レポート」(2026年7月)をもとに作成(確認日 2026-10-19)

金融庁が2019年3月に公表したアンケート調査では、一棟建てアパートなどへの融資で返済能力を見る際、95%の銀行と91%の信用金庫・信用組合が、物件の収支だけでなく顧客の給与収入なども考慮していました。家賃だけで返す計画であっても、借り手本人の収入や資産が問われると考えておきましょう。

住宅ローンを投資用に使うのは契約違反

住宅金融支援機構は、【フラット35】は投資用物件の取得資金には利用できないと明記しています。利用目的は自ら住む住宅の取得に限られ、自分は住まずに第三者へ貸したり民泊に使ったりするための購入は、認められない利用の例として挙げられています。

不適正な利用が分かった場合、機構は残りの債務の一括返済を求めるほか、警察への通報、関わった事業者の監督官庁への通報、損害賠償の請求などを行うとしています。虚偽の内容で融資を受けることは詐欺罪にあたり、手続きを業者に任せていた場合でも責任を問われるのは借りた本人だと案内されています。機構は融資のあとも、定期的に住宅の利用状況を調べています。

機構は、注意すべき誘い文句として「金融機関には自己居住用と説明すればOK」「契約書を2つ作成しましょう」などを挙げています。住宅ローンのほうが借りやすい、と持ちかけられても応じないでください。民間の金融機関の住宅ローンでも、資金の使いみちは契約で決められています。

審査で見られること

金融庁の2026年7月のレポートでは、投資用マンション向けの融資について、金融機関が次のような点を確認している実態が紹介されています。

  • 借り手の収入と、ほかのローンの状況
  • 収入に占めるローン返済額の割合
  • 物件の賃料水準や売買価格が、市場のデータに照らして妥当か
  • ローン契約の前に、電話やWEB面談で本人の契約意思を確かめる
  • 金利上昇・空室・賃料や価格の下落・想定外の修繕費といったリスクを理解したことの書面

2019年の調査でも、多くの金融機関が給与明細や税務申告書で収入を確かめていたとされています。一方、金融庁・消費者庁・国土交通省の注意喚起では、融資審査を通すために業者が預金通帳の残高や所得の資料を改ざんした例、売買価格を水増しした契約書を金融機関用に作った例が紹介されています。申込みの書類は自分で用意し、提出前に中身を確かめることが、自分を守ることにつながります。

金利タイプは「変動」と「固定」

ローンの金利には、借りている途中で金利が見直される変動金利と、一定期間または返済が終わるまで金利が変わらない固定金利があります。国土交通省によると、住宅ローン利用者の約8割は変動金利型を利用しており、日本銀行がマイナス金利政策を解除した2024年3月以降、住宅ローン金利は上昇傾向にあります。

投資用のローンでも、金利タイプによって返済額の動き方が変わります。金融庁は2026年7月のレポートで、変動金利の上昇が続いていることを踏まえて、金融機関が顧客に金利変動のリスクをどう説明しているかを検証しました。複数の金利上昇シナリオで収支を試算して渡している例がある一方、一般的なモデルケースの説明にとどまる例もあったとしています。申込み前に、自分の借入額と期間で、金利が上がったときの返済額を書面で示してもらうとよいでしょう。

団体信用生命保険(団信)の扱い

団信は、借り手が保険金の支払事由にあてはまったときに、保険金でローンの残高が返済される仕組みです。住宅金融支援機構は、加入していない人が支払事由にあてはまっても債務は弁済されないこと、告知の内容が事実と違うと保険金が支払われず債務を返済できない場合があることを注意点に挙げています。

投資用のローンで団信をつけられるか、つける場合にどんなときに保障されるか、保険の費用が金利に含まれるのか別に払うのかは、商品によって違います。保障の範囲や終わる年齢も含めて、申込み前に書面で確かめてください。

申込み前に確かめたいこと

  • ローンの名称と資金の使いみち(投資用の物件が対象のローンか)
  • 借入額・返済期間・金利タイプと、金利が見直されるタイミング
  • 金利が上がったときの返済額の試算(例:金利が1%上がった場合)
  • 団信の有無、保障の範囲、保障が終わる年齢
  • 繰上げ返済や途中での借換えの条件と手数料

よくある質問

できません。住宅金融支援機構は、【フラット35】の利用目的を自ら住む住宅の取得に限っており、投資用物件の取得資金には利用できないとしています。不適正な利用が分かると、残りの債務の一括返済を求められるなどの対応がとられます。

家賃収入だけではありません。金融庁の2019年の調査では、多くの銀行や信用金庫・信用組合が、返済能力を見る際に顧客の給与収入なども考慮していました。収入、ほかの借入れ、収入に占める返済額の割合、物件の賃料や価格の妥当性などが確かめられます。

どちらがよいかは、借入額や期間、手元の資金、金利が上がったときにどこまで返済額の増加に耐えられるかで変わります。一概には決められないので、金利が上がった場合の返済額を自分の条件で試算し、書面で比べたうえで判断してください。

まとめ

  • 住宅ローンは自分が住む家のため、不動産投資ローンは貸して家賃を得る物件のためのお金
  • 【フラット35】を投資用に使うのは不適正な利用で、一括返済の請求などの対象になる
  • 審査では物件の収支に加え、本人の収入やほかの借入れ、物件価格の妥当性が見られる
  • 金利タイプで返済額の動き方が変わる。上昇時の返済額を自分の条件で試算する
  • 団信の有無と保障の範囲は商品ごとに違う。契約前に書面で確かめる

参考にした資料