英語の発音を直す練習法|音の仕組みと独学でできる録音チェック

デスクの上に小さな卓上マイク、ヘッドホン、録音中のスマートフォン、手鏡が並ぶ静物写真 英語コーチングコラム

英語で話したのに聞き返された、録音した自分の声が思っていた音と違った――そんなときは、やみくもに口を動かすより、英語の音がどんな要素でできているかを知り、自分の声を録って一つずつ確かめるほうが、どこを直せばよいかが見えやすくなります。

この記事では、文部科学省の学習指導要領解説と、欧州評議会のCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の発音の尺度をもとに、目標の置き方・音の仕組み・独学でできる録音チェックの手順をまとめます。

この記事でわかること

  • 発音の目標を「聞き取りやすさ」に置く考え方
  • 英語の音をつくる5つの要素(音・つながり・強勢・イントネーション・区切り)
  • 自分の声を録音して確かめる手順とチェックの観点
  • 発音記号や英米の発音の違いとの付き合い方

目標は「ネイティブと同じ」より「相手が楽に聞き取れる」

CEFRは2020年の補遺版(Companion Volume)で、発音の尺度(Phonological control)を作り直しました。説明によれば、語学教育ではこれまで理想化された母語話者の発音が目標とされ、なまりは力不足の印とみなされがちでした。なまりや正確さばかりに注目し、聞き取りやすさ(intelligibility)を見てこなかったことが、発音指導の発展を妨げてきたとしています。

新しい尺度では、聞き手が話の内容をつかむのにどれだけ苦労するかが、レベルを分ける重要な基準になりました。尺度は「全体」「音の発音」「強勢・イントネーション・リズム」の3つに分かれています。全体の尺度の一部を要約すると次のとおりです。

レベル全体の発音の記述(要約)
C1ほぼすべての音を発音できる。ほかの言語のなまりが残っていても、聞き取りやすさには影響しない
B2おおむね適切なイントネーションと強勢で、個々の音もはっきり発音できる。なまりは残りがちだが、聞き取りやすさへの影響はほとんどない
B1発音はおおむね聞き取れる。強勢やイントネーションが内容の理解を妨げない。なまりはふつう、ほかの言語の影響を受けている

出典:Council of Europe「CEFR Companion volume」(2020年)Phonological control の Overall phonological control をもとに要約(確認日 2026-10-20)

どのレベルでも、なまりがあること自体は前提として書かれています。文部科学省の中学校学習指導要領解説も、特定の地域や集団に偏らない標準的な発音で、多様な人々とのコミュニケーションが可能となる発音を身に付けることを示しています。目標を「伝わること」に置くと、直す優先順位がはっきりします。

英語の音をつくる5つの要素

中学校の学習指導要領では、音声について5つの事項を扱うとしています。①現代の標準的な発音、②語と語の連結による音の変化、③語や句、文における基本的な強勢、④文における基本的なイントネーション、⑤文における基本的な区切り、です。発音を直すときも、この5つに分けると整理できます。

母音と子音:日本語と種類も並び方も違う

解説は、英語と日本語では母音や子音の種類や数が異なること、school・street・booksのように英語では子音が続くこと、likeやmusicのように子音で終わる語があることに注意するよう述べています。例:日本語の感覚で読むと、子音のあとに母音を足して「ス・ト・リー・ト」のように音を増やしてしまいがちです。

強勢とリズム:強い所は長く、弱い所は短く

高等学校の解説は、日本語は音節でリズムをとり、英語は強勢でリズムをとる言語だと言われていると説明しています。例として、Tom likes dogs. と Tom will like the dog. は語数が違っても、強勢のある音節の数と同じ3拍で、かかる時間もほぼ同じだと挙げています。名詞・動詞・形容詞などの内容語は強く、冠詞・助動詞・前置詞などの機能語は弱く素早く発音されることが多い、とされます。

イントネーションと区切り:意図と意味のまとまりを伝える

文の終わりを上げるか下げるかで、質問なのか、確認なのか、言い切りなのかが伝わります。中学校の解説では、平叙文を上がり調子で言って疑問を表す例や、相手の質問を上がり調子で繰り返して聞き返す例を挙げています。また長い文は、意味のまとまりごとに区切ると聞き手にも理解しやすくなります。

音のつながり:くっつく・消える・変わる

英語は語を続けて発音することが多く、解説は2語がつながる場合(Take it easy.)、つながるときに一部の音が落ちる場合(I don’t know.)、二つの音が影響し合って変わる場合(Would you ~)の3つを例示しています。聞き取りにも関わる要素です。

独学でできる録音チェックの手順

スマートフォンの録音機能だけでできる確かめ方です。手本に重ねてまねる練習は別の記事で扱い、ここでは自分の声を客観的に聞いて、音を作り直すことに絞ります。

  • 1.30秒ほどで読める、意味の分かる短い英文を用意する(例:自分の仕事の紹介を3〜4文で書いたもの)
  • 2.手本を聞く前に一度読んで録音し、日付をつけて保存する(いまの状態の記録になる)
  • 3.録音を聞き返し、下の表の観点で気になった箇所に印をつける
  • 4.直す点は一度に1〜2個に絞り、鏡で口の形や舌の位置を見ながら、その部分だけを何度か言ってみる
  • 5.数日あけて同じ英文を録り直し、最初の録音と聞き比べる
観点聞き返すときの問い
音子音のあとに余計な母音が入っていないか。語の終わりの子音が消えていないか
強勢・リズム強く言うべき語が目立っているか。すべての語を同じ強さ・同じ長さで読んでいないか
つながり一語ずつ切れて、ぶつ切りに聞こえていないか
イントネーション質問・確認・言い切りの上げ下げが、伝えたい意図と合っているか
区切り意味のまとまりで息継ぎをしているか。語の途中や前置詞の直後で切れていないか

出典:文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編」第2章第2節 ア 音声 の5項目をもとに作成(確認日 2026-10-20)

自分の耳だけでは気づきにくい点もあります。英語を使う知人や同僚に録音を聞いてもらえるなら、「うまいかどうか」ではなく「どこが聞き取りにくかったか」を尋ねてみてください。CEFRの考え方に沿えば、聞き手が苦労した箇所こそ優先して直す場所です。

よくある質問

高等学校の学習指導要領解説では、発音表記は音声指導の補助であり、実際の音声を学ぶ橋渡しになる利点がある一方、表記そのものの細かな学習に偏りすぎないよう注意するとしています。辞書で知らない語の音を確かめる道具として使い、最後は実際の音声で確認するのがよいでしょう。

中学校の解説は、特定の地域やグループに偏らない標準的な発音を扱うとしています。どちらかを正解と決めるより、仕事で接する相手の英語や、手元で使う音声の種類を基準に選ぶと迷いにくくなります。いずれの場合も、相手に伝わるかどうかが第一の目安です。

どこまで変わるかは人によって異なり、一概には言えません。ただ、CEFRの新しい尺度は、なまりが残っていても聞き取りやすさが保たれている状態を上位のレベルとして記述しています。母語話者と同じ音を目指すのではなく、聞き手が楽に理解できる状態を目標にすれば、取り組む範囲を絞りやすくなります。

まとめ

  • CEFRの発音の尺度は、なまりの有無より「聞き手がどれだけ楽に理解できるか」を重視している
  • 英語の音は、音・つながり・強勢・イントネーション・区切りの5つに分けて考えると整理しやすい
  • 英語は強勢でリズムをとる。内容語は強く、機能語は弱く短く
  • 自分の声を日付つきで録音し、観点を決めて聞き返す。直す点は一度に1〜2個まで
  • 目的と使える時間から、どこまでを目標にするかを自分で決める

参考にした資料